お題「スタジオジブリの中で1番好きな作品を教えてください」
数多くあるジブリ作品。その中でも私が一番大好きなのは「もののけ姫」である。
子供のころはなんとなく家にあったビデオを見ていただけだった。
しかし大人になってから見てみると言葉や行動の意味を理解出来て鳥肌が立った。
DVDを購入して何度も繰り返し見たものだ。
もののけ姫のテーマと言えば「人間の欲望と自然の摂理との対立」であり、深いメッセージが込められている。
生きるために森を壊し獣を殺す。それは現代に生きる私たちも直接ではないにしろ関与している。
もののけ姫の世界ではそれが憎しみを呼び人と獣の対立を生んでしまう。
主人公であるアシタカは出会う人たちを通して成長し、争いを止めようとする。
その中で、自然の尊さや大切さ、人間の心の豊かさを観る者に考えさせる作品でもある。
スタジオジブリの特徴である丁寧な作画や美しい背景、風景描写によって守屋大自然の美しさや神秘さが見事に表現されており、もののけ姫の世界に引き込まれる。
さらに劇中歌の美しいメロディと歌詞が物語の情感を高め、世界観を深めてくれる。
それに対して個性豊かなキャラクターたちが人間の心の内面や成長、友情や愛情を豊かに表現している。
凄いのはキャラクターに命を吹き込む声優さんたちと監督をはじめとするスタッフだ。
『「もののけ姫」はこうして生まれた。』というDVDがある。
その中には実際のアフレコシーンも収録されているのだが、監督が納得するまで何度もやり直していた。
脇役のセリフですらも意味があり、感情がこもっている。
セリフひとつでも妥協しないからこそ素晴らしい作品が生まれ多くの人が魅了されたのだ。
また、監督自ら作画に手を加えているシーンもあるのだが、それがまたすごい。
実際に動いて重心はここにあるから転ぶときはこうなるとか、狼の骨格はこうだから走り方はこうなるなど、細かいところまで作りこまれている。
雨が降り始めて石が濡れていくシーンも個人的にはすごく自然に見えて好きである。
もののけ姫は、その壮大なストーリー、細かく作りこまれた美しい映像美、現代にも通ずる深いテーマなどが融合し、観客に感動と共感を与える傑作としてこれからも高く評価されることだろう。